【ブライトン特急・2】《Convener》

 IDS(サックス大学開発研究所)には現在150人くらいのスタッフが働いています。IDSはサセックス大学の敷地内にはありますが、大学本体とは財政的には独立した「研究所兼大学院」で、6つのチーム(大学院のコースでもある)に分かれています。

    客員研究員である私は「グローバリゼーション・チーム」に所属しています。それぞれのチームにはチームリーダー(大学院生にとってはコース長)がいて、チームのとりまとめをしています。

 イギリスの大学院は一年で終了する修士コースが多く、IDSも一年でMA(Mater of Art:修士号)がとれます。IDSには毎年100人強の院生が入学しそれぞれのコースに分かれて勉強するのですが、今年(2010-11年)のグローバリゼーション・チームは11人中なんと5人が日本人という構成です。これは本当に偶然で、昨年のグローバリゼーションチームには学生は2人しかいなかったそうです(もちろん日本人はゼロ)。

    年によって学生の人数も、国籍もばらつきがあるようです。ただ、IDSの学生構成はいわゆる「イギリス人」はマイノリティーで、大半がイギリス旧植民地(南アジア、アフリカ、中南米)とイギリス以外のヨーロッパ、東アジア(日本、中国、韓国)からの留学生です。今年のIDS全体の日本人の数は10数人ですが、常に一定数の日本人は来ているようです。

    IDSに来て最初に戸惑った言葉にConvenerがあります。辞書を引くと「会議の招集者」と出ていますが、大学院の科目の「科目主任」という感じでも使われていて各学期(term)に開設される科目ごとにconvenerがいて、その構成(一学期は10週間なので、10回分の講義の内容、講師の配置)を決め、講師の手配をしています。それだけではなく、その科目に関するレポート課題の決定、それぞれの学生のレポート審査をする教員の配分もしています。もちろんできの悪い学生の面倒を見ることも。この意味では「担任」という感じでもあります。

   またIDSでは毎日のように昼休みの時間を利用したセミナー(seminar)があるのですが、このセミナーのアレンジをする人もconvenerと呼ばれます。この場合は「主催者」「呼びかけ人」ですね。また、学会などのセッションにもやはりconvenerがいます。この場合は「企画者」ですね。

  と、ここまで書いていて私が日本で「開発援助と人類学」「開発援助と社会学」「社会調査の品質向上」などの研究会や勉強会などを主催していたことはこのconvenerの役割に近いのだと言うことに気づきました。「コンビーナーさとかん」です。【2011/5/21】

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