【ブライトン特急・4】《Engaged》

 ブライトン特急をはじめとして、イギリスの中距離列車にはトイレがついています。私はこれまで、トイレの「使用中」はoccupiedと言うのだと思っていたのですが(飛行機ではそうですね)、こちらではengagedと書かれている列車もよく見かけます。

  日本人的にはengagedはウィリアム王子とケイト・ミドルトンさん(結婚してキャサリン妃になりましたが)の「婚約」のようなときに使うのだと思っていましたが、これはおそらく19世紀的な言葉遣いの名残なのでしょう。

  車内放送でも時々わからない単語に出くわします。「~線にお乗り換えください」はChange here for ~lineですが、地下鉄でAlight here for Westminster Abbeyというアナウンスがあったときには、思わず辞書を引きました。Alightは「(馬などから)降り立つ」という意味なのですね。優雅な言い回しじゃありませんか。

   ただ、面白いことに同じロンドン地下鉄でも線によって「お降りください」の単語が異なるのです。Alightを使っているのはディストリクト・ラインで、同じ線路を走るサークル・ラインはExitを使っています。どちらかというとExitを使う例が多いようです。

  運転手はTrain Driver ですが、車掌さんはTrain Managerと言うようです。「終点ブライトンです、皆さんお降りください」はThis is Brighton where this train terminats. All Change.と言います。だから終着駅はTerminal ですね。「お忘れ物の無いように」は、日本人的にはDon’t forgetと言いたいところですが、Please remember you have all your belongings. です。

 イギリス人も日本人同様(というか、こちらが本家ですが)列車旅行は好きな人が多いようで、食堂車(dining car)は長距離列車につきものだったのですが、最近徐々になくなりつつあるようです。それでもまだロンドンからスコットランド方面に行く列車や、マンチェスターなどに行くバージン特急、ユーロスターのファーストクラスでは食事付きが標準で、飛行機のように席まで食事を運んできてくれるようです。こうしたサービスは日本ではとっくに無くなっていますよね。車内販売(trolley service)は品揃えもサービスも日本には比べるべくもありませんが、コーヒーはほぼ必ずフェアトレード・コーヒーです。

 ユーロスターと言えば、一度ロンドンからブリュッセルまで乗ったのですが、車掌さんは三カ国語でアナウンスします。ロンドンからドーバー海峡トンネルまでは、英語、フランス語、オランダ語(だと思います)の順なのですが、ドーバー海峡を渡ったら、フランス語、英語、オランダ語になり、ベルギー領に入ったらオランダ語、フランス語、英語の順になりました。うーむ。ヨーロッパの人々はこうして言語圏を軽く乗り越えるのだなあ、と感心しました。録音テープではなく、生ですよ。【2011/5/23】

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